ボリュームディスカウントとは?4つのメリットや注意点を解説

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ボリュームディスカウントは、企業における調達戦略のひとつです。
大量購入により単価を下げてコストを削減できる一方で、適切な管理が求められたり、独占禁止法による法的なリスクがあったりといった点に注意が必要です。
本記事では、ボリュームディスカウントの定義やメリット、独占禁止法の法的リスクについて解説します。さらに、ボリュームディスカウントのメリットを活かせる購買管理システムの重要性と、システム導入をおすすめする3つの理由もご紹介します。
ボリュームディスカウントによってコスト削減と業務効率化を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ボリュームディスカウントとは

ボリュームディスカウントは、大量購入に応じて単価を割り引く価格戦略です。企業間の取引で広く活用され、調達コストの削減と取引関係の強化に貢献します。
とくに間接材の場合、日用品や事務用品は各部署で発注するのが一般的です。間接材とは、企業の製品やサービスの生産に直接関与しないものの、事業運営に必要な消耗品や備品のことを指します。その発注を担当部署に集約してまとめて購入することで、商品ひとつあたりの金額を抑えられるのです。
購入側は購入単価を下げられるため、購買コストを抑えられます。販売側は一度に多くの商品を売れるため、在庫管理や配送の効率が上がります。
ボリュームディスカウントの3つのメリット

ボリュームディスカウントのメリットは、以下の3つです。
- 調達コストの削減
- 発注業務の効率化
- 取引先との関係強化
得られるメリットを正しく理解し、自社の購買管理に活かしましょう。
調達コストの削減
ボリュームディスカウントは、大量購入で調達コストを削減する有効な戦略です。
たとえば、複数社から購入していた平均取得価格120円の商品を1社に集約し、1万個をまとめて発注することで単価が105円まで下がるとします。この場合、年間コスト削減額は15万円となり、12.5%の削減効果が得られるのです。
また、年間や四半期など、一定の期間において割引が適用されるケースもあります。戦略的に調達方法を見直すことは単価の低減につながり、大きな経済効果をもたらす可能性があるでしょう。
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発注業務の効率化
大量購入によって頻繁な発注が不要となり、発注や配送にかかる手間やコストを削減できます。とくに間接材の調達では、まとめ買いによって発注回数を減らすことで、購買業務の効率化を目指せるでしょう。
たとえば、複数部署で重複して購入していた日用品を担当部署でまとめて発注することで、発注作業の工数を大幅に削減できます。購入先を集約することで、各サプライヤへの支払い業務も削減できます。大量購入で必要な物品を安定的に確保できるため、欠品リスクを低減できる点もメリットです。
購買管理でボリュームディスカウントを推進していこうと考えている方は、以下の記事をチェックしてみてください。集中購買のメリット・デメリットや、向いている資材について解説しています。
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取引先との関係強化
ボリュームディスカウントを活用することは、取引先との長期的な関係構築に有効な手段です。大口発注は取引先にとって安定した収益源となるため、信頼関係を深めるきっかけとなります。
たとえば、年間契約を結ぶことで、価格面での優遇措置や納期短縮といった特典を得られる場合があります。
取引先も顧客ニーズを予測しやすくなり、生産計画や在庫管理の効率化につながることで、双方にとってメリットが生じるでしょう。取引先との関係強化は、長期的な安定供給や優先的なサービス提供が期待できるほか、新たなビジネスチャンスの機会が生まれる可能性もあります。
ボリュームディスカウントの4つの注意点

ボリュームディスカウントの注意点は、以下の4つです。
- 過剰在庫のリスク
- 担当部署への業務集中
- 新規開拓の機会損失
- 独占禁止法による法的リスク
リスクを事前に確認し、ボリュームディスカウントの推進を検討してみてください。
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過剰在庫のリスク
一度の大量注文でボリュームディスカウントを活用する場合、購入企業側には過剰在庫のリスクがあります。大量購入によって単価を下げられる一方で、需要予測が不正確な場合、必要以上の商品を抱えることになるためです。
過剰在庫によって、使用期限切れによる廃棄のリスクや、在庫に資金が固定されることによりキャッシュフローが悪化するおそれもあります。とくに、社会情勢や会社方針によって需要が変動する商品は、過剰在庫を抱えるリスクが高いといえます。
ボリュームディスカウントを目的として大量に購入する際は、すべて消費できるかどうか事前の検討が必要です。
担当部署への業務集中
各部署での発注をひとつの部署に集約した場合、担当部署への業務が集中するリスクもあります。
具体的な購買に関する業務は、以下の3つです。
- 発注依頼の取りまとめ
- 検品
- 各部署への仕分け作業
さらに、各部署からの商品詳細・納期確認などの問合せに対応する必要もあります。発注依頼書にミスがあった際には、担当部署で追加の対応が必要になるでしょう。
その結果、本来の業務をひっ迫するおそれがあります。
新規開拓の機会損失
ボリュームディスカウントを活用する際、購入企業が注意すべき重要な点のひとつが新規開拓の機会損失です。
既存サプライヤとの関係を優先するあまり、より優れた条件を提供するサプライヤの採用を逃してしまうおそれがあるためです。
サプライヤを集約した後も定期的に見直しを実施し、さらなるコスト削減余地がないか検討する必要があります。
独占禁止法による法的リスク
ボリュームディスカウントを活用する際は、独占禁止法に抵触するリスクを十分に理解しておきましょう。とくに取引先との力関係が不均衡な場合、優越的地位の濫用とみなされるおそれがあります。
たとえば、買い手が「一定数量以上購入すること」を条件に割引を適用するとしても、その条件が取引先に過度な負担を強いる場合、公正取引委員会から問題視されるおそれがあります。
独占禁止法による法的リスクを回避するためには、ボリュームディスカウントの条件を明確にし、取引先との合意を文書化しましょう。
割引条件が合理的であり、市場競争を阻害しないことを証明できる仕組みを整備することが大切です。
ボリュームディスカウントを効果的に推進するなら「購買管理システム」

大量購入でボリュームディスカウントを推進できれば、コスト削減が実現します。
そのためには、購買実績や分析データなどのエビデンスを持って、適切に交渉する必要があるでしょう。
購買業務に「購買管理システム」を導入すれば、担当部署への業務集中を回避しながら購入先を集約できます。各拠点・部署からの発注でも、システムを通した発注に統一することで購入先を集約できるためです。システム上での発注はすべて記録され、全社の購買データをまとめて出力できるため、価格交渉時にもすぐに対応可能です。購買管理システムは、業務効率化とコスト削減の両立を可能とする便利なツールであるといえるでしょう。
以下の記事では、購買管理システムについて、購買業務で実現できるメリットや便利な機能について解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
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購買管理システムがボリュームディスカウントに役立つ3つの理由

購買管理システムがボリュームディスカウントに役立つ理由は、以下の3つです。
- 全社購買の一元化による取引規模拡大
- データ分析にもとづく最適な購買計画の策定
- 割引された価格での購買を徹底
ボリュームディスカウントを効果的に推進したい方は、購買管理システムの導入を検討してみましょう。
これから購買業務に関わる方や、購買業務に課題を感じている方は、以下の資料をぜひお役立てください。
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全社購買の一元化による取引規模拡大
購買管理システムを導入することで、複数の部署や拠点で分散していた購買業務を一元化し、全社的な発注量を集約できます。
その結果、ボリュームディスカウントの条件を満たしやすくなり、割引率の適用範囲が広がります。
たとえば、各部署が個別に購入していたオフィス用品や消耗品などの間接材を、システムでの発注に統一することで自ずと購入先が集約されます。これによってサプライヤとの価格交渉が有利になり、調達コストを大幅に削減できるでしょう。
一元化によって発注業務の重複や無駄を排除し、業務効率も向上します。どの部署がどれだけの商品を購入しているかを明確に把握することで、不必要な購入も防止可能です。
以下の記事では、購買管理システムの導入で購買支出の約1割を削減した事例を紹介しています。購買管理のコストに課題を感じている方は、一度チェックしてみてください。
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購買先の集約と購買状況の可視化により購買支出を削減。
データ分析にもとづく最適な購買計画の策定
システム上での発注はすべて購買データとして残るため、品番単位で詳細に購買状況を把握できます。購買データの履歴は、価格交渉時のエビデンスとして十分な材料となるでしょう。全社の購買状況が詳細に把握可能になることから、削減の余地が大きい品目など優先すべき対象を正しく把握し、ボリュームディスカウントを効果的に推進できます。
実施後の評価を通して次の打ち手につなげるなど、継続的にPDCAを回せる環境になるでしょう。
このように、購買実績をもとに継続的にPDCAを回すことで、高い精度で購買データを見える化できた事例があります。以下の記事で紹介しているので、自社の購買状況を把握できないと感じる方は、参考にしてみてください。
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「ヤンマーホールディングス株式会社」様 >>
購買先の集約と購買状況の可視化により購買支出を削減。
割引された価格での購買を徹底
システムでの発注に統一することで、全社を通して割引が適用された状態で購買可能です。
各拠点・部署でそれぞれ購買を行っている場合、割引価格での購買が一部のみでしか行われず、全社で徹底されないケースも起こりえます。
システムで購入できる商品の価格を割引後のものに設定することで、システムを利用する限りは全社同一の価格で購入が行われるようになるのです。
以下の記事では、システムによってグループ全体で同一間接材を購入し、利用者の約6割がコスト削減を実感した事例について紹介しています。
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「カルビー株式会社」様 >>
価格比較の徹底と購入先の集約によって購買コストを削減。
ボリュームディスカウントでコスト削減するなら「べんりねっと」

ボリュームディスカウントは、大量購入によってコスト削減を実現する購買戦略です。とくに間接材は各部署で発注する傾向があるため、集約することでコストや発注工数の大幅な削減が期待できるでしょう。
一方で、過剰在庫のリスクや購買担当者への業務負担、法的リスクなど、注意すべき点もあります。
これらの課題を解決し、ボリュームディスカウントのメリットを最大限に活かすためには、購買管理システム「べんりねっと」の導入がおすすめです。
べんりねっとは、全社の購買管理を一元化することで、より有利な条件でのボリュームディスカウントを実現します。また、詳細な購買データ分析により、今後の購買計画を策定しやすくなります。べんりねっとでコスト削減と業務効率化を両立して、企業の競争力向上につなげましょう。