間接材とは?直接材との違いや購買管理の適正化の4ステップを解説
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間接材は直接材と比較して購買管理の優先度が低く、管理が徹底されていない企業も少なくありません。しかし、間接材の購買管理を改善することで、業務効率化やコスト削減、内部統制強化など大きな効果を期待できます。
本記事では、間接材について、直接材との違いや適正化のための4ステップを解説します。これから間接材の購買管理について見直そうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
間接材と直接材の違いとは?定義の違いを解説
間接材は製品に直接使用しない資材を指し、生産や売り上げに直接関係ない消耗品や備品が該当します。一方で、直接材は製品の製造に直接使用される資材を指し、該当するのは原材料や部品です。製品の構成要素となるため使用量は製品の生産量に比例します。
間接材と直接材の違いについて、以下をさらに詳しく解説します。
- 間接材・直接材の具体的な資材例
- 間接材と直接材の簿記上の取り扱い
間接材と直接材の違いを明確にし、自社の購買管理を見直してみてください。
間接材・直接材の具体的な資材例
間接材と直接材の具体的な資材例は以下の通りです。
資材の種類 | 分類 | 資材の例 |
間接材 | 日用品 | トイレットペーパー・洗剤・ティッシュペーパー |
文房具 | ペン・ノート・クリップ・付箋 | |
工具 | ドライバー・ペンチ・ハンマー・電動工具 | |
オフィス機器 | パソコン・プリンター・コピー機・シュレッダー | |
燃料 | ガソリン・軽油・灯油・プロパンガス | |
販促品 | カタログ・パンフレット・ノベルティ | |
備品 | 机・椅子・キャビネット・棚 | |
直接材 | 原材料 | 鉄・プラスチック |
部品 | エンジン・電子部品 |
間接材は直接材と比較して種類が多く、管理が複雑になりやすいでしょう。また、低単価ゆえにコスト管理がおろそかになりやすく、全体的な管理が難しい傾向にあります。
間接材と直接材の簿記上の取り扱い
間接材と直接材は、簿記上では以下の取り扱いになります。
資材の種類 | 費用の区分 | 概要 |
間接材 | 補助材料費 | 製品の製造に使用されるが、製品の主要な構成要素とはならない材料の費用 |
工場消耗品 | 構成要素とはならない材料の費用 | |
消耗工具器具備品費 | 製造に使用される比較的安価で耐用年数の短い工具や器具の費用 | |
直接材 | 主要材料費 | 製品の製造に直接使用される原材料の費用 |
購入部品費 | 製品の製造に使用される完成または半完成の部品を外部から購入する際の費用 |
直接材は、主要材料費や購入部品費として分類されます。製品の製造に直接関わる原価として扱われるため、売上原価や製品製造原価に計上されます。一方で、間接材の費用は製品製造に間接的に関わる原価として扱われるため、計上されるのは販売費や一般管理費です。
直接材は製品原価に直接影響を与えるのに対し、間接材は間接費として扱われ、より広範囲な原価として管理されます。
間接材の購買管理が難しい4つの理由
間接材の購買管理が難しい理由は、以下の4つです。
- 品目の多様性により管理が煩雑になりやすい
- 発注する部署・人が分散している
- コスト管理が難しい
- 直接材に比べて優先度が低い
自社の購買管理における課題を特定し、適切な管理を目指しましょう。
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品目の多様性により管理が煩雑になりやすい
間接材は事務用品や工具、設備など多岐にわたる品目が含まれており、管理が複雑になりやすいです。
各品目はそれぞれ異なる特性をもち、使用頻度や消費速度も異なります。たとえば、ボールペンや消しゴムなど日常的に使用する文房具から、特定の作業にのみ必要な専門工具まで、用途や管理方法はさまざまです。
さらに、品目の多様さから関係するサプライヤが多くなり、一元的な管理が難しくなります。その結果、品目や購入先が増えることで発注や支払処理の手間が増え、工数が増えやすくなるでしょう。また、購買データの収集や集計も難しくなります。
発注する部署・人が分散している
間接材は、消耗品など全社で必要となる物品を多く含むため、発注する部署・人が多くなります。一元管理できていないと、全体的な取引状況の把握やデータ分析が困難となり、集中購買によるボリュームディスカウントの機会を逃してしまうでしょう。
たとえば、文房具のような日常的に使用されている間接材は、各部署の担当者が個別に発注することが多く、結果的に同じ品目でも購入先や価格が異なる状況が生じます。
また、購買ルールを設定しても関与している部署や人が多いと浸透や定着が難しく、統制を取りにくい点も課題です。社員による不正購入やサプライヤとの癒着など、不正の温床になるおそれもあります。
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コスト管理が難しい
間接材は一品あたりの単価が比較的少額であり、都度の相見積は合理的ではありません。そのため、取引先が固定化しやすく、適切な取引先の選定や見直しが疎かになりコスト削減の機会を逃してしまう可能性があります。
また、一品あたりの単価が比較的少額なため優先度が低く、管理が不十分になりやすい傾向です。購入先が分散していたり、交渉の材料となる購買データが手元になかったりするケースが多く、結果として価格交渉が困難となります。
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直接材に比べて優先度が低い
多くの企業で、間接材は直接材と比較して優先度が低く扱われやすい傾向にあります。企業の支出総額を見ると、間接材の購買額の割合が低いためです。優先度における意識の低さが、間接材の購買管理に対する社内での取り組みを遅らせる原因となります。
直接材は、製品に対して詳細な調査や分析が行われるため、社内に一定の専門性が蓄積されます。一方で、間接材購買は専門的な知識があまり求められないことから、多くの部署・人が発注を行い購買が分散しやすい傾向です。
間接材は会社全体でのルールの統一が難しく、部署ごとに独自ルールが生まれるケースもあるでしょう。社内全体で見ると重複業務が生じやすく、非効率になりやすいのが現状です。
しかし、優先度が下がりやすい間接材も、社内全体で見直すとコスト削減・工数削減において大きな効果を期待できます。
間接材の購買管理を適正化するための4ステップ
間接材の購買管理を適正化するためのステップは、以下の4つです。
- ルールにもとづいて品目を選定する
- 取引商品の品目と数を明確にする
- 取引先や品目を集約する
- 定期的に運用を見直し改善する
間接材の購買管理を見直し、適正化に向けて行動しましょう。
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1.購買におけるルールを標準化する
購入ルールの標準化は、間接材の管理を効率化し、コスト削減と透明性向上を実現するために重要なステップです。
購買管理におけるルール作成の手順は以下の通りです。
1. 社内共通の購入方針を定めて、それにもとづいた具体的なガイドラインを作成する
2. 標準化された発注フォームや契約書テンプレートを作成し、社内で統一して使用する
高額の商品を発注する際は複数の見積もりを義務づけるなど、コスト管理徹底のルールを導入することをおすすめします。ルールを作成し徹底することで、購買プロセスの一元化と透明性の向上が実現するでしょう。取引データを適切に管理できれば、支出分析や予算管理も容易になります。また、作成したルールを共有するために、全社員を対象にした研修を行い、購買プロセスの浸透を図る必要があります。間接材購買は関わる社員が多く存在するので浸透が難しく、多くの労力が必要ですが、標準化したルールは全社員間で徹底するようにしましょう。
2.取引商品の品目と数を明確にする
多くの企業では間接材の購入が部署や個人レベルで分散して行われているため、社内の購入データを収集し、分析することが大切です。
購入データの分析において、以下の品目を特定しましょう。
- 購入頻度の高い品目
- 累計金額の高い品目
- 重要度の高い品目
- 類似品目
- サプライヤ間での重複品目
- 不要な品目
各品目の仕様や品質を再評価し、標準化の可能性を探る必要があります。品目の標準化を検討する際は、上位品目を中心に行いましょう。
一方で、間接材はロングテール品が多いため、すべてを標準化する必要はありません。オフィス用品や消耗品などは、サプライヤやブランドの統一による大量購入でコストを削減できる可能性があるため、検討をおすすめします。
3.取引先や品目を集約する
明確化した品目情報をもとに類似品や重複品を整理し、標準品目を設定します。このステップにより、不要な商品の削除と購入量の集約を実現できます。
サプライヤの評価も同時に行い、品質・価格・納期などの面から最適なサプライヤを選定しましょう。取引先の数を減らすだけではなく、より戦略的な観点から取引先を検討する必要があります。
4.定期的に運用を見直し改善する
間接材の購買ルールを作成したら、定期的な運用の見直しと改善を重ねていく必要があります。市場や企業のニーズは常に変化するため、一度確立した購買ルールも最適ではなくなるおそれがあるからです。
定期的に運用状況を見直すために、これまでの購買データを詳細に分析し、コスト削減の効果、プロセスの効率化などを評価しましょう。運用を見直す際は、現場の声も積極的に収集する必要があります。
また、サプライヤとの関係性も定期的に見直しましょう。各サプライヤのパフォーマンスを評価し、必要に応じて新規サプライヤの探索や既存サプライヤとの再交渉を行います。
購買データの分析結果をもとに、購入方針やルールの継続的な改善を行うことで、購買管理の持続的な向上を期待できます。
間接材の購買管理を適正化するなら購買管理システム
間接材の購買管理は、品目の多様さや優先度の低さからあまり進んでいないのが現状です。また、間接材における購買管理の適正化には、多くの時間と労力がかかります。
間接材における購買管理の課題を解決するためには、購買管理システムの活用がおすすめです。購買管理システムには、以下の特長があります。
- 多様な機能により業務効率化を実現
- データ分析によるコスト適正化
- 業務の見える化で内部統制を強化
間接材の購買管理を効率よく最適化したいと考えている方は、導入を検討してみてください。
以下の資料では、購買管理システムについて具体的な機能や導入メリットを解説しています。購買管理システムの導入を検討している方はご一読ください。
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多様な機能により業務効率化を実現
購買管理システムには、間接材の購買業務を効率化するための多様な機能が備わっています。たとえば、カタログ機能によって定期的に購入する品目を登録し、カタログの作成が可能です。
発注作業が簡略化されて業務効率があがるほか、購入品目が部署や個人単位でばらつくおそれもありません。複数取引先への「一括見積依頼機能」や、登録したカタログと外部サイト連携先のカタログを一括で検索できる「サイト間一括検索機能」での価格比較によって、コスト削減と業務効率化の同時実現も可能です。
購買管理システムの導入によって、これまで個別のシステムや表計算ソフトなどで管理していた業務も一元化でき、購買情報の収集にかかる時間を大幅に削減できます。その結果、購買に関わる従業員はコア業務に集中できるようになり、企業全体の生産性の向上につながるでしょう。
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グループ全体で発注工数を50%削減。
データ分析によるコスト適正化
購買管理システムで購買データを一元管理することで、まとまったデータをすぐに出力でき、詳細な分析が可能になります。購買データの分析によってコスト削減の余地を発見し、適切な改善策を講じられるためです。購買管理システムによって、具体的に以下を特定できます。
- 重複している品目
- 高頻度で使用する品目
- 高コストの品目
データにもとづいた支出分析によって、より有利な条件での調達が可能になります。システムを通じた発注によって購入先が集約され、集中購買によるコスト優遇も受けられるでしょう。
以下の記事は、グループ全体の購買実績を集約し、集中購買によってコスト削減を実現した事例です。間接材のコストを下げたいと考えている方は、ご一読ください。
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集中購買の浸透によってコスト削減を実現。
業務の見える化で内部統制を強化
購入金額や費目による承認フローの設定やサプライヤの選定条件など、購入における基準を明確にしシステム上で運用することで、全社統一のルールが確実に機能します。関与する社員が多い間接材でも、全社統一ルールの定着が可能です。
システムによって発注や支払いのプロセスが標準化されるため、人為的なミスや不正のリスクが大幅に軽減されます。たとえば、二重発注や承認プロセスの省略などの問題を防げるでしょう。
また、システムによる一元管理で、各部門や拠点での購買状況をリアルタイムで把握できます。経営層や管理部門が全体の購買活動を効果的に監視し、必要に応じた介入が可能です。詳細な購入履歴や取引記録も自動的に保存されるため、取引の透明性があがります。
購買管理システムの導入によって業務の透明性があがり、内部統制が強化されることで、企業の信頼性向上につながるでしょう。
以下の記事では、購買管理システムの導入で購買ルールを徹底したことにより、内部統制の強化を実現した事例です。購買管理における内部統制を課題に感じている方は一度チェックしてみてください。
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承認ワークフロー機能の活用で購買ルールを徹底し、内部統制の強化を実現。
また、以下の記事では、内部統制の重要性や強化するための4ステップを解説しています。内部統制が不十分な場合に起こり得るリスクについても紹介しているので、自社の現状と照らし合わせてみてください。
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間接材の購買管理を適正化するなら「べんりねっと」
間接材は企業の支出総額に占める割合は低いものの、総額は決して無視できません。間接材コストの削減は、企業全体の利益に大きな影響を与える可能性があります。
間接材の購買管理を効果的に適正化するためには、購買管理システムの導入が有効です。「べんりねっと」は、間接材購買に特化したクラウド型の購買管理システムで、利用者に合わせた多様な機能により、業務効率化を実現します。購買管理システムを効果的に活用し、企業の競争力向上と持続的な成長を目指しましょう。
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