購買システム導入前の必須マニュアル|失敗しない選び方を徹底解説
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購買管理の業務効率化を実現するためには、購買システムの導入が欠かせません。
しかし、さまざまな製品・種類があるので、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。そこで本記事では、購買システムの特徴や選び方、導入前に準備しておくことを解説します。
導入に失敗した例も取り上げながら解説するので、迷ったときの参考にしてください。
購買システムとは?
購買システムとは、発注から支払いまでの購買プロセスを電子化して、業務を効率化するシステムのことを言います。
製品によって特徴は異なるものの、購買システムには主に以下8つの機能が備わっています。
購買計画 | 製品の生産計画を数値化・可視化し、購入価格を決定する機能のこと。「どの企業から」「いつまでに」「いくつ」「どの程度の価格で」等の情報を管理する。また、考案した購買計画にしたがって購買業務が正しく行われているか、(購買履歴などのデータを基に)今後の需要を予測するといった分析にも活用可能。 |
仕入先管理 | どの仕入先から・いつ・何を・いくつ仕入れたかの管理を行う機能。今後の購買予定を立てられるようになるほか、過去の仕入先と物品の価格データを参考にすれば、より安い価格で仕入れられる取引先を選ぶサポートにも活用できるようになる。 |
取引契約 | 物品を購入する際に結ぶ取引契約の内容を整理し、システム上で一括管理できる機能。契約内容を電子化するため、契約違反を抑制できるほか、新しい契約内容の決定もスムーズに行えるようになる。 |
発注管理 | 仕入先への発注依頼の作成、作業フロー・納期・数量などを管理する機能。これらの機能によって、効率的に購買が運用可能になる。 |
価格管理 | 物品の購入価格を管理し、価格を適正に保つ機能。過去の取引履歴から、物品ごとに最適な価格を設定することで、社内の適正な統一価格で購入でき、購買コストを抑えられるようになる。適正価格で商品を仕入れたり、より安価な仕入先を選定したりするのに役立つ。 |
納期管理 | 発注した商品や材料の納品までの進捗をステータスでリアルタイムに可視化する機能。主に製造業などで利用されることが多い。発注した商品の納期を管理する機能。発注した材料や部品が指定納期までに届くかを管理できる。また、納期に遅れが出た際に、自動で警告することも可能。生産計画の延期や、代替計画の立案を早期に行えるようになる。 |
品質管理 | 取引先から仕入れた物品の品質を管理し、粗悪な物品を発見する機能。事前に設定した品質基準に満たない物品を発見し、以降の生産工程を調整できる。また、取引先ごとに品質の良し悪しを管理し、閲覧することも可能。 |
検収支払管理 | 納品後の検収・支払い金額の確定を行う機能。注文ごとの支払いステータス・支払い条件を一元管理できるため、支払い時の突合処理が効率化できる。また、検収状況の把握、不正の抑制も可能。購買業務の内部統制を行ううえで重要な機能。 |
このように、購買システムを導入することによって購買データが一元管理できるようになるため、業務効率化やコスト削減に役立ちます。
また、システムの導入によって購買管理フローが可視化され、社内で情報を共有できるため、属人化による不正防止も実現できます。
購買管理システムの機能や導入メリットは以下のページで詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
【失敗例】購買システムを導入した結果…
購買業務を効率化するには購買システムの導入が必須です。
しかし一方で、導入前に十分な準備を行わなかったり、システム選びを間違えたりすると、期待した効果が得られない場合もあります。
ここでは、購買システムを導入した際の、よくある失敗事例を3つ紹介します。
現場の要件に合わなかった
関係部署との連携が薄く、現場業務を理解せずに理想論だけで導入を進めて失敗するケースもあります。
システムの選定は企業の上層部だけで決定されがちですが、実際にシステムを活用するのは現場の人たちです。つまり、現場の人たちにとって使いにくいシステムを導入すれば、反発に遭い、せっかく導入してもなかなか利用が進まない、ということも十分にあり得るのです。
また、システムは導入すれば終わりというものではなく、自社の環境や時代の変化に合わせて改善活動が必要になります。その際に参考になるのは現場の声です。現場の声を聞く環境が整っていないと、システムを導入してもうまく使いこなせず、満足いく結果を得られないでしょう。
業務効率が低下してしまった
社内の統制を意識するあまり、業務自体が複雑化してしまい、かえって業務効率が低下することもあります。導入後の操作が多くて複雑だと社員が戸惑ってしまい、結果として以前よりも工数がかかって業務効率が悪化してしまいます。その結果、現場の利用率が下がってしまうと、結局統制が取れない状態が続き、本末転倒になります。
なお、システムの使い勝手の悪さは、社員教育や社内で目的を共有するだけでは、利用率の低下を防げません。使い勝手と統制はバランスを意識する必要があります。
投資額が大きく費用対効果を得られなかった
現場の声や改善点などを購買システムによって全て一気に叶えようとするのは危険です。
本来であれば不必要な機能を多数搭載してしまい、投資額が大きくなり、結果的に費用対効果が得られなくなってしまうという失敗も起こり得ます。
また本記事でも後述しますが、購買システムは導入して終わり、というものではありません。環境に合わせて改良を重ねていくものでもあります。
つまり、後々になって改良費をはじめ、保守運用などの費用もかかってくる可能性もあるため、それらを含めた予算取り・予算計画が必要になります。
ただし、逆に予算ありきで考えるのも危険です。予算内におさめるために仕様を切り詰めていく中で、結局中途半端なシステムが出来上がってしまい、想定どおりの費用対効果が得られなくなってしまうことも有り得ます。
目的を達成するために、必須の要件は何かを明確に見定めておく必要があります。
以下の資料ではよくある失敗とその解決策を詳しく解説しています。
無料でダウンロード可能ですので、今後購買システムの導入をお考えの方はぜひ一度ご確認ください。
関連資料:購買システム導入の失敗事例
購買システム導入前にやっておくべきこと
ここまでで、購買システム導入前にやっておくべきことについて紹介しました。 これらの失敗例を未然に防ぐためには、自社の環境を整える必要があります。ここでは、購買システム導入前に準備しておくべき3つのポイントを紹介します。
業務フローの可視化
まずは現時点において、どのような業務フローになっているのか、現状を確認します。 そして、システムの導入によって具体的にどの部分を改善すべきなのかの問題を浮き彫り(可視化)し、見極めることが重要です。購買管理の業務フローは、主に以下のようになっています。
- 購買依頼書の申請
- 見積もりの依頼
- 購入先の選定
- 発注
- 納品・検収
- 請求書の処理・支払い
発注から支払いまでの各業務フローを可視化し、購買管理の実態を直視することで、業務の改良点を発見しやすくなります。 どこにコストや手間がかかりやすいのか、どこを改善すれば効率化できるのかを見極めておくと、自社にマッチするシステムを導入しやすくなるでしょう。
購買業務のフローを適切に可視化する方法については以下のページでていねいに解説しています。
フロー図のサンプルも掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
現場への確認
業務フローの可視化を行うと同時に、現場の意見も積極的に取り入れましょう。これによって現場も自分事として捉えられ、改善点がより明確になります。現場のニーズにフィットしたシステムを導入できれば、事務処理作業の効率化にもつながります。 システムが現場に定着しないといった問題が起きる心配もなくなり、導入後の改善活動も実施しやすくなるでしょう。あらかじめ現場の意見を吸い上げられる環境を整えておけば、実際の運用に即したシステムを構築できます。
目的をはっきりさせる
上記の通り、業務フローの可視化、意見の吸い上げを行っているうちに、意見がまとまらなくなり、どの意見を優先させるべきなのか迷ってしまうことがあります。 システムの導入はあくまで課題を解決するための手段の一つです。導入自体が目的になってしまえば、システムを有効に活用できません。 そのため、購買システムを導入することによって何を達成させたいのか、なぜ導入する必要があるのか、その目的や理由をはっきりさせておくことも重要です。 これにより、どの問題を先に解決するべきか、どの業務フローを改善するべきか、優先順位を決めやすくなるというメリットも発生します。
また、以下の資料では購買システムを活用した購買業務改善の手法を解説しています。
課題抽出から購買管理システム導入まで段階ごとに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連資料:How to Success 購買管理
購買システムの選び方
一口に購買システムといっても、さまざまな種類があり、会社によって適したシステムは異なります。自社に合うシステムを導入するために、抑えておくべき3つのポイントを紹介します。
1. 連携
購買管理には経理部門や仕入部門などの複数の部門が関わっているため、各ツールと連携しやすいシステムを選ぶ必要があります。 また既存のECサイトやカタログと連携できるかどうかも重要なポイントです。既存システムと連携性の低いシステムを導入すると、予算を上回る開発・保守費用が必要になり、思うような費用対効果を得られません。 仕入先との連携性なども確認しながら、複数の関係先と情報連携が取れるシステムを選びましょう。
2. 購買品目・カバー領域
システムによって対応できる品目やカバーできる領域が異なるため、まずは自社の購買業務で扱う品目と範囲を明確にしておきましょう。購買品目は「直接材」と「間接材」の大きく2つに分けられます。
直接材 | 企業の売り上げや戦略に直接関わる購買品 |
間接材 | 直接材以外の経費購買品 |
購買システムは、直接材と間接材の両方に対応している製品と、間接材にのみに対応した製品があります。またカバー領域については、購買プロセス全般をカバーしている製品と、一部のプロセスに特化した製品があります。 直接材と間接材のどちらを管理したいのか、購買プロセスはどの部分をカバーしたいのか、など自社の購買品目とカバー領域を決めておくと、製品選びでミスマッチが起きにくくなるでしょう。
3. 操作性
業務を効率化させるためには、操作性に優れたシステムの選定が不可欠です。たとえ優れた機能が備わっていても、動作が遅かったり操作方法がわかりづらかったりすると、業務効率が下がって現場から不満の声が上がる可能性があります。 また操作上でトラブルが起きた場合に備えて、サポートの充実したシステムを選んでおくと安心です。自社だけで対処できないトラブルが発生する可能性もあるため、万が一のためにサポート体制が整ったベンダーの製品を選びましょう。
まとめ
購買システムには、企業の購買管理業務を効率化して、コスト削減を実現できるメリットがあります。
しかし、自社に合っていないシステムを選ぶと、かえって業務効率が低下し、余計なコストがかかる場合があるので注意が必要です。失敗を避けるためにも、自社に合った製品が導入できる環境を整えるところから始めましょう。
自社が抱える課題やシステムの導入目的を明確にし、現場の意見を積極的に聞くことで、導入時の失敗リスクを最小限に抑えられます。
自社に適した購買システムを慎重に導入していきましょう。
購買管理システム導入で実際どう変わる?
購買業務でよくある4大お悩み
「コスト削減・業務効率化・内部統制・グリーン購入」。
これらをどのように解決したか、導入企業様の実例をご紹介。同じ課題を抱えた方がどうように取り組み、改善されたか、ぜひ参考にしてみてください。