導入事例

医薬品製造業

太陽ファルマテック株式会社 様

  • 業務効率化
「200社のサプライヤと接続し、発注から会計処理までの時間を65%短縮」

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医療用医薬品受託製造企業が「べんりねっと」で200社のサプライヤと接続
請求書から支払通知方式へと変更し発注から会計処理までの時間を65%短縮

医療用医薬品の受託製造事業でグローバルに展開する太陽ファルマテック株式会社は、DX推進の一環で、消耗品や試薬をはじめとした間接材の調達を抜本的に変革するプロジェクトに着手。従来運用してきた3つの購買システム(自社システム・べんりねっと・試薬サイト)を、改めてべんりねっとに一本化し、約200社の既存サプライヤを接続して業務効率化を目指した。それにより、発注作業が簡素化し、申請者と購買担当の業務負担が削減するとともに、月間約100件回収してきた請求書も支払通知方式に変更することで、発注から会計処理までの時間を65%短縮するまでに成功した。今後はべんりねっとに蓄積した購買データを本格的なコスト削減活動に活用していくという。

《POINT》

  • 購買システムの一本化及び連携サイト活用により発注作業が簡素化し業務負担が削減
  • 購買フローの最適化により申請者から購買担当への問い合わせ件数が減少
  • 月間約100件の請求書を支払通知方式に変更し、購買担当及び経理担当の負担を軽減
  • 発注~納品検品~会計処理のトータル時間を約65%短縮し生産的業務への移行を実現
  • 購買データの蓄積で購買分析や相見積もりの原則化など本格的なコスト削減活動に着手

導入の背景

3つに分かれた購買システムの存在により 申請者や購買担当の負担が増大

太陽ファルマテックは1933年に製薬を開始し、以後大手製薬企業の西日本主力工場として日本の医薬品製造を支えてきた。2019年10月にはエレクトロニクス業界向け化学品の製造・販売を手掛ける太陽ホールディングスグループの傘下に入り、医療・医薬品の製造受託企業(CMO)として事業を開始。国内工場の強化のみならずグローバルな生産体制を構築している。主要品種の固形製剤では約20品目、注射製剤では約50品目を製造。またそれら主力製品の他に、再生医療や遺伝子治療など最先端分野の新規事業にも取り組んでいる。

太陽ファルマテック株式会社
高槻工場 管理部 管理課
田中 由起 氏

同社は近年、DX推進による業務改善に取り組む中で、2024年度から原材料や修繕・メンテナンスなどの工務課業務を除く、間接材の調達を抜本的に変革するプロジェクトに着手した。これまでは、間接材  は「べんりねっと」と自社開発の「購入依頼書」(購買システム)を活用し、研究開発に必要な試薬は専用ECサイトを活用するなど、合わせて3種類の調達方法を使い分けていた。プロジェクトを主導した、高槻工場 管理部 管理課 田中 由起氏は、最も利用頻度の多かった購入依頼書のフローについて次のように説明する。「申請者がExcelファイルに必要な物品の情報を入力し、上長承認後、購買担当にメール送信。その後、購買担当がRPAで管理表に一覧化し、注文書を作成して各仕入先にメールで送信するという複雑な処理が必要でした」

他にも、購買システムが分かれていたため申請者自身が物品別に使い分ける手間がかかっていたほか、購入依頼書では処理の大半を購買担当の手作業で行われていたため、申請が集中すると発注作業が停滞する可能性もあったという。また、新規事業の拡大によって発注件数も急増し、購入依頼書のExcel運用では処理が追いつかなくなるケースも増え始めた。さらに、仕入先からは月間約100 件もの請求書が送られてくるため、督促や確認に手間や時間がかかっていた。

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選定の理由

べんりねっとの高い連携機能を活用し3つの購買ルートとサプライヤを集約

「このように、数ある課題の中でも 、特に購入依頼書での運用には限界を感じていました。何らかの改善方法を模索していたところ、べんりねっとの拡張性と連携機能の高さに着目しました。3つの発注方法をべんりねっとに一本化するアイデアが生まれたのです」と田中氏は振り返る。
べんりねっとであれば旧組織の時代から活用し、社員は使い慣れているので、異なるシステムを新たに導入するより負担は少ないと考えた。具体的には、購入依頼書(購買システム)で発注していたサプライヤをべんりねっとに接続し  、試薬専用ECサイトはべんりねっとに連携することで“入口”を一本化する構想だ。

特殊な設備備品や理化学機器、海外から取り寄せる試薬、特定のサプライヤ以外からは調達できない工具なども、べんりねっとに既存のサプライヤを連携することで取引を継続できた。べんりねっとに接続するサプライヤの数が多いことで商品選択が困難になることも懸念されたが、外部連携サイトと内部カタログを一括で検索できる「サイト間一括検索機能」があるため懸念は解消。検索結果を並べて表示できるので、商品の価格比較が簡単に行える点も評価したという。

また、べんりねっとでは検収済の明細のみを支払い対象とできるほか、サプライヤとデータが共有されていることで購買データの信憑性が高いことから、外部の請求書発行システムとべんりねっとの購買データを連携することで従来の請求書払いを「支払通知方式」に変更できることも判明。購買担当や経理担当の業務負担や時間も削減できることが期待された。さらに、グループ会社で利用していた他のサービスとも比較検討したが、費用面や営業フォロー、商品カタログ登録などのサポートの手厚さから、最終的にべんりねっとを選定した。

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導入の効果

発注~会計処理までのトータル時間を当初の想定以上の約65%削減を実現

2024年1月、べんりねっとへの一本化と機能強化がスタート。 既存サプライヤに対し連携を促す案内や説明会、問い合わせ対応を粘り強く行った結果、8割以上の取引先が同意してくれたという。そして計画通り、同年4月に新べんりねっとの運用が開始された。「決定から運用開始まで約3ヶ月という非常にタイトなスケジュールにも関わらず、カウネットの担当者が尽力してくれたおかげで、サプライヤの連携作業や、特殊な納品処理対応、マニュアル作成などを支援してもらい、無事本稼働を開始することができました  」と田中氏は述べる。現在は利用ユーザが約500ID、商品マスタが約5,000万点、連携サイトが11、年間トランザクションは約1万2,000件の規模で運用されている。

運用開始から半年、効果は次の3つが確認されているという。

 第1は、購買システム一本化及び連携サイト活用による利便性の向上。購買システムの集約で、申請者と購買担当の発注作業が簡素化し、物理的な業務負担が削減できた。また、従来は一部署に1つだけIDが割り振られ、特定の人が取り纏めて申請していたが、現在は社員全員にユーザIDを付与したので、誰もがいつでも申請できるようになった。製造現場では作業の合間に申請する必要があるので、心理的ストレスも軽減できたという。さらに、べんりねっとの中で発注ステイタスの確認が可能になったため、発注状況や納品予定日の確認など、申請者から購買担当への問い合わせ件数が減少したという。「今回改善の対象となった間接材は購買点数や種類が多いのですが、あまり手間をかけずに処理したいと考えていた分野でした。購買システムの一本化とサプライヤ連携により当初よりも効率化でき、運用の手間もかからなくなったので非常に助かっています」と田中氏は評価する。
 第2は、請求書払いから支払通知方式への変更による購買担当及び経理担当の負担削減。以前は月1000明細、約100 枚の請求書を回収し、購買担当と経理担当で納品書と請求書の複数回チェックを行っていたため負担が大きかったが、現在は確認業務の負担もほぼ解消された。  試算によると、発注~納品検品~会計処理までのトータル時間が、一本化の前では約1,052時間かかっていたが、一本化後は約412時間に削減され、約65%短縮できた計算だ。田中氏は「べんりねっとで集中購買し、購買データが集約できたことで、支払通知方式に移行することが可能になりました。 事前の試算では51%程度の短縮と予想していたので、それ以上に効率を高めることができ大変驚いています。時間が創出されたことで、より生産的な業務に専念できるようになったことも大きなメリットです」と話す。
 第3は、本格的なコスト削減活動への期待。購買データが集約して蓄積するようになったことで、今後は購買品については相見積もりを原則化するというルールを作ることができるという。べんりねっとには「見積商談機能」が備わっており、複数サプライヤからの見積取得も容易になったので、購買分析や、定番商品の再見積、ボリュームディスカウントの交渉など、コスト削減活動に役立つエビデンスのベースが整った。

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今後は、連携サプライヤをさらに増やしていくとともに、修繕やメンテナンスなどの工務課扱いの設備系作業もべんりねっとで申請できるようにする可能性を探っていくという。また、太陽ホールディングスのグループ会社にもべんりねっとの活用を推奨していくことで、スケールメリットを得られるような拡大運用も模索していく考えだ。


 田中氏はプロジェクトを振り返り、「私のようなシステムに明るくない担当者でもタイトなスケジュールの中で導入を成功できたのはカウネットのフォローのおかげだと思っています。長年べんりねっとを活用してきたからこそ、購買分野にもDX、つまり変革をもたらし、成功できたと事例だと分析しています。それを支援してくれたカウネットには深く感謝するとともに、今後もさらなる機能改善に向けて引き続き支援を期待しています  」と語る。


 CMOから製剤開発も含めた医薬品開発製造受託事業(CDMO)への飛躍を目指す太陽ファルマテックの重要インフラとして、べんりねっとも同社の事業拡大とともに更なる進化を続けていく。

企業データ

設立
2019年10月
従業員数
500名(2024年10月現在)

固形製剤と注射製剤を主製品とする医薬品の受託生産を行う

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