導入事例

食品製造業

カルビー株式会社 様

  • 業務効率化
  • コスト削減
「グループ全体で発注工数を50%削減。利用者の6割はコスト削減も実感」

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カルビーグループが間接材購買管理基盤に「べんりねっと」を採用
購入可能商品数6,000万点、年間購入額5億円に拡大し、発注工数を50%削減

カルビー株式会社(以下、カルビー)では、グループ内で使用する間接材における購買システムを複数併用しており運用が複雑になっていた。管理工数の増大や購買分析に課題を抱えていたため、購買管理システム更改プロジェクトを実施。複数のサービスを比較検討した結果、連携サプライヤの豊富さや、内部統制への強化、コスト削減の可能性などに注目して「べんりねっと」を採用した。

活用開始から10年近くが経過し、現在は購入可能商品数が導入前の十数倍に増えることで商品選択の幅が拡がるとともに、多くの利用者がコスト削減を実感。さらに見積取得や価格比較などの発注工数も削減した。今後はさらなるコスト削減に向け指定サプライヤを増やしながら、グループでの利用率を向上させて業務効率化を促進していくという。

《POINT》

  • 購買部門による単価交渉により見積取得や価格比較などの発注工数がおよそ50%削減
  • サイト間一括検索機能の導入で連携サイトをまたぐ価格比較作業を30分から数分に短縮
  • カウネットとの二人三脚で機能改善に努めることでグループ全体での利用を定着
  • 実績データを用いてサプライヤとの価格交渉やユーザ啓蒙などによるコスト削減を実現

導入の背景

3つの購買システムの使い分けにより運用の複雑化と購買分析に課題

 スナック菓子及びシリアル食品の製造・販売を主たる事業とするカルビーは、「ポテトチップス」や「じゃがりこ」、「フルグラ」など、日本人が慣れ親しんだブランドを数多く持ち、自然の素材を活かした商品を広く社会へ提供している。国内のスナック菓子市場で50%以上のシェアを有し、特に主力のポテト系スナックにおいては70%を超える高いシェアを占めるほか、シリアル食品の分野ではフルグラが市場でトップシェアを誇る。また、海外においても国内で培った自然素材の加工技術を活かし、9つの国と地域で現地の生活者のニーズに合わせたスナック菓子を販売している。

 

 カルビーでは、2012年頃から、社内で使用する間接材における購買方法の見直しを目的としたシステム更改プロジェクトをスタートさせた。同社の国内生産拠点は協力会社を含めて16箇所、連結グループ企業は6社存在し、購買する間接材は工場で使用する工具や安全衛生用品、ユニフォーム類、物流・梱包用品、試薬(硫酸、塩酸、希釈液など)、理化学機器 (プレート、測定器、フラスコなど)などが中心となる。その間接材購買に利用していたシステムに課題があった。同社グループ内では「一般購買データベース」と呼ばれるシステムで、①購買申請者が購入依頼を起案→②上長の承認→③発注→④納品→⑤検収というワークフローに沿って間接材購買を行っていた。しかし一般購買データベースには新旧2種類のシステムが併存し、それらとは別に一般のオフィス用品通販サービスも利用するなど、合計で3~4種類のシステムを間接材の仕入先別に使い分けなければならなかった。特に旧システムでは新システムのような発注の仕組みはなく、申請者が紙の購入依頼書に手書きで起票し、それを上長が承認すると、発注担当が手入力で発注エントリーするなど、業務負担も大きかった。

また、部門別では次のような課題もあったという。

【購買部門の悩み】

  • 間接材のマスタの登録方法が統一されておらず、メーカー名や品番・規格がバラバラで購買実績を分析しづらい状況だった。
  • 同じ間接材でも工場ごとに購買単価が異なり、その決定経緯も不明確だった。
  • 品目やサプライヤ数が多いため、コスト削減に向けた商談を個別に行うのが難しかった。

【工場部門の悩み】

  • 商品マスタは各工場にて登録・管理しなければならず、現場の負担が大きかった
  • 間接材が納品された後は、発注者自身が購入依頼書と納品書をセットにして工場の一般購買担当者に提出し、検収後にそれらを本社経理部門へ送る必要があった。

【本社経理部門の悩み】

  • 経理部門においても納品書の金額などをダブルチェックする必要があった
  • 紙の購入依頼書と納品書をファイリングして保管する手間がかかっていた。

選定の理由

連携サプライヤの豊富さに注目
内部統制強化とコスト削減にも期待

 そこでカルビーは、従来の一般購買のやり方を見直し、「ネットカタログ購買」と呼ぶ仕組みの構築を決断した。一般のECサイトのような購買体験を社内の間接材購買にも応用し、クラウド型の購買管理プラットフォーム上に掲載された電子カタログから発注できるようにしようと考えたのだ。ネットカタログ購買のベースとなる購買管理プラットフォームを複数検討した結果、2013年3月にべんりねっとを正式採用することになった。

 選定のポイントは主に3つあったという。1つ目は、数多くのサプライヤとの連携実績があること。推奨サプライヤが豊富な上に、必須としていたサプライヤが含まれているため、他のサービスより取扱商品数が格段に多く、当時で既に1,000万点を超えていた点も高く評価された。有力サプライヤを複数連携して利用できる上に、これまで取引のあった既存のサプライヤも連携できる柔軟性にも注目したという。

 2つ目は、内部統制が強化できること。べんりねっとは申請~検収までの履歴のデータ化による購買プロセスの明確化や、数量・単価の後追い修正などを不可能にするセキュアな運用が可能な点も安心材料だったという。

 3つ目は、コスト削減の可能性が高いこと。まず、商品コスト削減については、工場ごとに取引していたサプライヤを集約し、グループ全体で同一間接材を購買することでスケールメリットを価格交渉に活かすことができる。また、購買実績データを蓄積して商品規格の標準化や安価なブランドへの変更も可能になる。一方、業務コスト削減については、申請~検収までのフローをデジタル化して紙の購入依頼書を削減できるようになるほか、納品書の回収と経理部門への回付、見積書取得なども不要にできる点にメリットがあった。

 そしてべんりねっとは、2013年7月に本番運用を開始した。

導入の効果

サイト間一括検索機能の利用で
商品検索・価格比較時間が1/10に短縮

 稼働開始から10年近く経た2023年2月現在、カルビーグループのべんりねっと連携サプライヤは、ウィズカウネットを含め16社となり、その中でもMROや家電などの連携サイト数は7サイトまで増えた。それにより連携サイト含む商品マスタ数は約6,000万点に拡大。年間トランザクション数は約7万5,000件、べんりねっと全体での購入金額は年間約5億円にも及んでいるという。
導入後の効果は、大きく次の2つが挙げられる。発注工数削減とデータの活用によるコスト削減(サプライヤ交渉材料、ユーザー啓蒙)などの効果が出ている。

 第1に、発注工数の削減。カルビーではデータ活用によるコスト削減。購買品は全て2社以上から相見積を取るのが社内ルールとなっているが、べんりねっと導入後は基本的に購買部門で交渉した単価が登録されているので、相見積せずに購買が許されている。そうした見積の取得や価格交渉、比較などの工数も含めて、発注工数はおよそ50%削減された。

 第2に、当初の課題だった購買実績データを活用したサプライヤとの単価交渉を行うとともに、発注者へのプッシュ型のコスト削減提案(べんりねっとの管理担当者は、毎月継続して全発注者に対して発注履歴データ分析によるコスト削減提案を配信している)を実践したことで、発注者の約6割が10%以上のコスト削減を実現している。

 また、コピー用紙など購入頻度の高い商品の統一商品の設定や、メーカー集約購買による指定サプライヤ導入などを実践していくことで、2022年度は約800万円のコスト削減を見込んでいるという。

 ここまで効果を創出できた背景には、べんりねっとの導入プロジェクトを率いた管理担当者とカウネットの営業担当者が二人三脚で、段階的に組織に定着させてきた工夫と努力があった。導入直後は、まず利用件数と利用者数を増やすため、各工場を回り工場長や全発注者に対して直接説明を行うなど、利用促進してもらうための環境構築に努めた。その結果、業務効率化への理解が進み、利用率向上へと繋がったという。その次に、徹底的にコスト削減に注力。毎月の利用状況や安価な商品情報を発注者に繰り返し提供していった。そして直近では、べんりねっとに新たにリリースされた「サイト間一括検索機能(※)」を採用することで、発注ユーザのさらなる工数削減を実現し、利便性を向上させた。
(※)商品マスタ登録されているカタログと外部サイト連携先のカタログを横断して一括で検索できる機能のこと。

 以前は、必要な間接材を探す際に連携サイトごとにアクセスして個々に探していたため、最短でも5分、手間取ると30分以上かけて探し回るユーザもいたという。現在は、べんりねっと画面上での検索時間は約1分、複数の検索結果から価格を比較するのに約1~2分と、合計数分以内に探し出せるようになった。社内アンケートでは、約66%の発注担当ユーザがサイト間一括検索機能を利用し、そのほぼ全員が商品検索での利便性向上を体験したという。

 今後はさらなるコスト削減に向け、指定サプライヤを1年に1社以上増やしていくとともに、グループ会社での利用率をさらに向上させて業務効率化を促進していく考えだ。

 べんりねっと導入から10年目を迎える今年も、毎月弛みない改善と提案を続け、更なるコスト削減と業務効率化に取り組むカルビーグループ。その挑戦の歩みを止めない姿勢に応えるべく、カウネットも全力で支援していく。

企業データ

従業員数
連結:4,398名 単体:1,883名
(2022年3月31日現在)

1949年設立。
主として、ポテト系、小麦系、コーン系・豆系のスナック菓子及びシリアル食品の製造・販売等を行う

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